以前、私は、G街から一分のマンションに暮らしていた。
花園神社裏の道をベロ酔いでロケ帰りの大きな荷物を背負い、フラフラと帰る。背中にタクシーを渋滞させながら……。
一度、心配して送ってくれた『B』のマスターは、ドアの前でいきなり「アンタなんでついて来るのよ!」とピンタをくらったらしい。それから、誰も送ってくれなくなった。
しかし、私も酔っ払いだが、同じ人種が群れるG街。夜中になると、時々襲撃をくらった。
ある夜の事。その日、その頃のオトコと部屋でくつろいでいた。夜中の2時頃だっただろうか、いきなりピンポ〜ンピンポ〜ン!立て続けにチャイムを鳴らす音。
そっと覗き穴を覗いてみると、ライターのS氏。目鼻ヨダレ垂れ流し状態の激酔いフェイスである。“まずい……。”その頃のオトコは、G街と無縁の人だったので、私の酔っ払い行状は知らないし、まして、この状況を理解できはしない。私は、そっとドアを離れた。
「誰?」「知らない人!部屋間違えてるんじゃない?」シカとを決めた。しかし、10分……15分……チャイムは鳴り止まない。「ホント知らない人?」オトコが、疑いの眼差し。「うん」「警察呼ぶって言えば?」「そ、そうね」インターホンをとる。「迷惑ですっ!いい加減にしないと警察呼びますよ!」「あっれ〜よーこちゃぁ〜ん。やっぱあ、いるんじゃあ〜ん。飲もぉよぉ〜」うぐっ、げっ……だめだこりゃ……ガチャンとインターホンを切る。
されど、チャイムは鳴り止まない。しかも私の在宅を確認させてしまった為「おぅ〜い!」なんて呼びかけ始めた。「ホントに知らない人だったらホントに警察呼べばあ?」彼はますます疑いのマナコ。「……そ、そうよね!」後には引けない状況になっちまった。
そして私は、心の中でSさんごめん!と謝りながらも、無情にも110番をピッポッパッ!!「知らない人がドアの前で暴れているんです!」私はオトコの為に、友達を売った……。そして……静かな夜が再び訪れた……。
明くる日の夜、S氏に謝罪せねばと、行きつけの『L』に行く。常連に昨日の話をし、S氏を待った。11頃、S氏がドアを開けた。
「ごめん……」「おーっ!よーこちゃん!昨日さあ、君んとこのマンションで何か事件あっただろう!僕、犯人と間違われて警察連れて行かれちゃって朝までたよ。どうもジャケットが似てたようだよ!」「……」私は、下げかけた頭を元に戻し、回りを見た。みんな、かすかに首を横に振っていた……。
そのS氏は、今はもう北海道に帰ってしまった。 真実を知らぬまま……。
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